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2018年12月登載

パス学習コーナー

1.BOMの現状と今後

第4回:BOMの進化と今後の展開

日本クリニカルパス学会理事長
副島 秀久 先生(支部熊本県済生会 支部長)

副島 秀久 先生

(1)BOM Ver.3.0へのバージョンアップの経緯について教えてください。

2016年11月、日本クリニカルパス学会は医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)にBOMの医療情報標準化指針への新規申請を行いました。
今回のバージョンアップは、そのHELICS協議会標準化委員会の審議において指摘された事項についての改定です。つまり、今回の改定は学会認定の標準規格であったBOMが国内の標準規格になるために行った改定と言えます。2018年12月1日現在、審査はパブリックコメントの募集を経て、最終審議の段階に入っています。

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(2)BOM Ver.3.0の主な変更点は何でしょうか。

主な変更点をまとめると以下①〜③となります。

①MEDIS-DC看護実践用語標準マスターと同等の構造への変更
②BOM観察項目名称にMEDIS観察名称管理番号を付与
③これまで主語のみの表現であった観察項目を文章表現にした観察項目名称の追加

①、②はMEDIS-DCの看護実践用語標準マスターとの紐付けをより明確にするために行った変更です。既にVer.2.2においても看護実践用語標準マスター Ver.2.8 との紐付けは行われていましたが今回の改定ではマスター構造に変更を行い、表現や結果値も含め全てを再構築しています。更に、これまで付与されていなかったBOMの観察項目名称にMEDISの観察名称管理番号を1対1で紐付けしています(図1参照)。③に関しては、これまで観察項目名称は一つ(一列)で管理されていましたが、一列フィールドを追加し、従来主語のみの表現であった観察項目と文章表現にした観察項目から選択できるように変更しています(図2参照)。
※BOM Ver.2.2からの構造上の変更点は以下の図3をご参照ください。

【Ver.2.2】
観察項目名称 設定なし 設定なし
体温【適正値:○○℃】
注射部位の疼痛・腫脹・
かゆみ・紅斑がない

【Ver.3.0】
  追加
観察項目名称1 観察項目名称2 MEDIS観察名称
管理番号1(コード)
体温【適正値:○○℃】 体温の適正値が○以上、○以下である/の適正値が
○以上である/の適正値が○以下である
31000407
注射部位の疼痛・腫脹・
かゆみ・紅斑がない
注射部位の疼痛・腫脹・かゆみ・紅斑がない 31200577

MEDIS-DC看護実践用語標準マスターとの紐づけが可能であった項目 ⇒ コードの3桁目が0

MEDIS-DC看護実践用語標準マスターとの紐づけが不可であった項目 ⇒ コードの3桁目が2

図1 MEDIS-DC看護実践用語標準マスターとの適合を考慮し、BOM Ver.3.0に番号を付与

【Ver.2.2】
観察項目名称 設定なし 設定なし
体温【適正値:○○℃】

【Ver.3.0】
追加  
観察項目名称1 観察項目名称2 MEDIS観察名称
管理番号1(コード)
体温【適正値:○○℃】 体温の適正値が○以上、○以下である/の適正値が
○以上である/の適正値が○以下である
31000407

図2 主語のみの表現であった観察項目(観察項目名称1)と文章表現にした
観察項目(観察項目名称2)から選択できるように変更

図3 BOM Ver.2.2からの構造上の変更点(まとめ)

その他にも、観察内容が特定の数値に限定されるような表現となっていた部分に関しての修正(図4参照)、同一用語のアウトカムと観察項目名称の組み合わせや、同義のアウトカムと観察項目名称の組み合わせを整理しています(図5参照)。

Ver.2.2 観察項目   Ver.3.0 観察項目
SPO2が○%である SPO2の適正値が○以上、○以下である/の適正値が○以上である/の適正値が○以下である

図4 観察内容が特定の数値に限定されるような表現となっていた部分に関して修正(例)

Ver.2.2 アウトカム Ver.2.2 観察項目
めまいの症状・所見がない
(O00380)
めまいがない
(2400046100)

図5 同一用語のアウトカムと観察項目名称の組み合わせや、同義のアウトカムと
観察項目名称の組み合わせを削除(例)

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(3)最後に。

現在のカルテはどこの国でも、自然文で書かれています。医師も、看護師も他の職種も含め、すべて叙述による記録様式です。また、画像所見や病理所見も自然文で書かれています。自然文は読みやすく、まさに「自然に」頭の中に入ってきます。紙に記録する限り、形式はあまり関係ありません。文字が発明された紀元前4千年からコンピュータが使用されるまで6000年はものに刻んだり印刷された文字であり、これをデータとして集めたり、加工することはできませんでした。電子化によって我々の記録がデータとして扱えるようになりました。電子化は文字におけるパラダイムシフトと言えます。医療において意味のあるフレーズのデータをとることができるのはBOMのみであり、今後こうした構造化されたフレーズが、電子カルテで広く使われるようになると予測しています。
BOMのアウトカムは316ありますが、実際に使われているアウトカムはそれほど多くありません。また、観察項目もある程度、整理すると、よく使うアウトカムと観察項目のセットができ、これを使うとアウトカム設定が容易になり、また同じ観察項目なのでバリアンスの正確な比較が可能になります。施設間の医療の質をベンチマークできれば、より良い医療の提供ができると期待しています。

KK-18-12-24237

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