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てんかん診療Q&A

てんかん診療Q&A 執筆・監修:松浦雅人先生 東京医科歯科大学 名誉教授/田崎病院 副院長 てんかん診療Q&Aトップへ

Q&A

症 状

誘発発作あるいは急性症候性発作とは?

誘発発作(provoked seizure)は、てんかんによる自発発作(spontaneous seizure)との対比で、基礎疾患を持つ発作の総称として用いられる。原因疾患は年齢によって異なり、救急対応が必要な疾患と通常の診療で対応する疾患に分けられる(表1)。代謝障害に基づく発作では、24時間以内の血液学的・生化学的検査で異常所見(表2)が確認できる1)

急性脳疾患あるいは身体疾患の急性期に生じる発作は、急性症候性発作(acute symptomatic seizure)と呼ばれる。頭部外傷、脳血管障害、無酸素脳症、脳炎、脳腫瘍、薬物・アルコール離脱、重篤な代謝障害などが原因となって、1〜2週間以内に生じる。脳手術後の発作や、多発性硬化症などの自己免疫疾患の急性期に生じる発作も含まれる。高齢者では発作時に硬膜下血腫が発見されることがある。

表1.けいれんを生じる疾患

 

救急対応が必要な疾患

通常の診療で対応する疾患

新生児期

周産期異常(低酸素脳症、頭蓋内出血)、先天性代謝異常症、低血糖症、低Ca血症、中枢神経感染症

脳奇形

乳幼児期

先天性代謝異常症、中枢神経感染症

熱性けいれん、憤怒けいれん、軽症胃腸炎関連けいれん、良性乳児けいれん

学童期

もやもや病、中枢神経感染症

光過敏性けいれん、失神、心因性発作、睡眠時随伴症(夜驚、錯乱性覚醒、睡眠時遊行症)

青年・成人期

頭部外傷

失神、心因性発作、子癇、薬物乱用、アルコール離脱

高齢期

脳血管障害(TIA、梗塞、出血)、脳腫瘍、電解質・代謝性疾患

失神、心因性発作、睡眠関連運動障害(睡眠時ミオクローヌス、周期性四肢運動障害)、レム睡眠行動障害、認知症

脳卒中や頭部外傷後2週間以内に生じた発作を早期発作(early seizure)、2週間以降に生じた発作を後期発作(late seizure)と呼ぶ。脳卒中治療ガイドライン20092)によると、early seizureは再発率が低く、予後と関連しないが、皮質を含む大きな出血性梗塞では、数日間の抗てんかん薬の予防投与をしてもよいと記載されている。一方、late seizureは再発リスクが高いことから抗てんかん薬の継続投与が推奨されている。脳卒中後のてんかん発症率は2〜4%であるが、early seizureやlate seizureを伴った場合のてんかん発症率は3〜13%に上昇する3)。頭部外傷後のてんかん発症率はearly seizureを伴った場合は2〜16%だが、late seizureを伴った場合は2〜25%に上昇する4)

表2.代謝障害による急性症候性発作1)

血糖 36mg/dL以下、450mg/dL以上
血清Na 115mg/dL以下
血清Ca 5.0mg/dL以下
血清Mg 0.8mg/dL以下
尿素窒素 100mg/dL以上
クレアチニン 10.0mg/dL以上

文献

  1. Beghi E et al: Recommendation for a definition of acute symptomatic seizure. Epilepsia 51: 671-5, 2010
  2. 篠原 幸人ほか編:脳卒中治療ガイドライン2009、協和企画、東京、2009.
  3. Slapø GD et al: Poststroke epilepsy: occurrence, predictors and treatment. Expert Rev Neurotherapeutics 6,1801-9,2006
  4. Lowenstein DH: Epilepsy after head injury: an overview. Epilepsia 50(Suppl.2): 4-9, 2009.
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KK-16-05-14322

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