Q&Aから学ぶ透析技術 No.8
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心肥大から心不全を来すことに注意。 心肥大は左心室もしくは両心室の壁が肥厚した状態であり、求心性肥大と遠心性肥大の2つに分類されます。求心性肥大は高血圧、弁閉鎖不全に伴った逆流などの圧負荷が原因となっており、一方遠心性肥大は、体重の増えすぎによる体液量増加とシャント流量増加による容量負荷が原因となって起こります。高度の心肥大が続くと、心室のコンプライアンスが低下し、心不全を起こす危険性があります (図4)。
透析後半に多い不整脈。透析条件の再確認を。 透析患者に認められる不整脈としては、期外収縮、心房細動、心室粗動、洞性徐脈、高度房室ブロックなど多彩で、透析後半に起きることが多いのが特徴です。その原因としては、電解質異常、透析中に起こる循環血液量ならびに電解質の急激な変化、カルシウム、リンの代謝異常による冠動脈、心臓弁への高度の石灰化などが考えられ、さらに貧血、シャント流量増加による心臓負荷などが増悪因子となっています。治療としては、抗不整脈薬を投与する前に、まずはドライウエイトを含めた透析条件(血流速度、除水速度など)の再確認を行うことが大切で、その確認を行った後に抗不整脈薬の投与、カテーテルアブレーション*、心臓ペースメーカー植え込み術などの治療法を検討します。
高頻度に認められる虚血性心疾患。 透析患者における狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生頻度は、一般人の約10倍といわれており、これは長期透析患者の増加、導入患者の高齢化ならびに糖尿病性腎症患者の増加が大きな誘因となっていると考えられます。また、透析患者の冠動脈はびまん性に高度の石灰化を伴っていることが多く、このことが経皮的冠動脈血管形成術(PTCA)および冠動脈バイパス術(CABG)の成績を一般人よりも悪くしています。そのため、最近では、PTCAの際にロータブレーター(Rotablator®:毎分20万回転の超高速で金属研磨チップを回転させ、血管壁石灰化病変を破砕する器具)を用いた治療も行われています。 長期例では心臓弁の異所性石灰化がみられることも。 長期透析患者の中でも、水分管理の悪い、もしくはカルシウム、リンのコントロールの悪い患者で心臓弁に異所性石灰沈着を起こし、最終的に高度の心臓弁膜症を合併する症例をしばしば経験します。その際、障害されやすいのは僧帽弁と大動脈弁の2つであり、閉鎖不全症となって逆流現象が起き、左心室および左心房に容量負荷をかけ、心室ならびに心房の拡張を来し6)、その結果、心胸郭比が急に増大します。ちなみに、透析患者で心臓弁に石灰化を来す頻度は、大動脈弁で28〜40%、僧帽弁では36〜55%と報告されています7)8)。また治療としては、僧帽弁に対しては弁形成または弁置換術、大動脈弁に対しては弁置換術が行われています。治療成績は、術後合併症が高頻度に発症するため、早期成績、長期成績共に一般人と比べるとあまり芳しくなく、1年生存率61%、2年生存率40%、3年生存率29%という報告があります9)10)。 心臓負荷を軽減させることが大切。 心疾患を合併した透析患者への心臓負荷を軽減する対策について表2にまとめました。 しかし、狭心症など虚血性心疾患の程度が重篤な場合、透析で除去する水分量がわずかであっても血圧が急激に低下し、冠動脈血流量が減少して狭心症発作が誘発され、透析の続行が不可能となることがあります。また、拡張型心筋症などにより心機能低下が著明な患者では、循環血液量の変化の許容幅が極めて狭く、透析で過剰水分を除去しようとしても血圧低下が起きるため、ドライウエイトまで到達することができなかったり、また少しの体重増加ですぐに肺うっ血状態になったりすることがあります。このような患者では、血圧変動が少なくなるような血液浄化方法を選択する必要があります。具体的には、透析頻度を週3回ではなく、もっと頻回に血液透析を行うか、もしくは血液浄化方法をまったく変更して腹膜透析やHF、HDFなどを選択せざるを得なくなります。
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